第551回 2022.11.21
日本語の驚異的な表現力
会長:小原御郎
ジャパニスト出版:3分間スピーチ例文集「日本を語ろう」より
海外に行って自国のことを大いに語ってください。
日本語は世界の言語の中でも、独特の言語のひとつと言えます。
中国から伝わってきた漢字をベースに日本独自のひらがなとカタカナを組み合わせることによって、驚異的な表現力を持っています。特に、微妙な表現を表したり五感を伝えたり自然を描写する際には、驚くほど多彩な表現の仕方があると言えるでしょう。
例えば、風を表す言葉は2000以上あり、そのニュアンスを伝える表現は、「ひゅうひゅう」「ごうごう」「そよそよ」など数えきれないほどあります。同じように、雨や雲についても数千もの表現があります。色にも多彩な表現があり、赤を表す言葉だけでも100前後もあると言われています。
自然を表す言葉だけではありません。「わたし」や「あなた」という表現にも多種多様な言い方があるのです。私たち日本人は、相手との関係や使う機会に応じて、それらを使い分けています。
約1000年前に紫式部によって書かれた『源氏物語』は世界最初の小説ともいわれていますが、現代の人にも読み継がれているように感情描写が豊かで世界初の心理小説とも言われて、現代的でさえもあります。
現在、『ミシュラン』で最も三ツ星を獲得しているのはフランスではなく、日本です。それは日本語の表現力と無関係ではないと思います。なぜなら、日本語には微妙な味の違いを表現できる言葉がたくさんあるため、味に対する感覚がより研ぎ澄まされ、理想とする味の追及に役だっているからです。
また、日本語が適しているのは情緒的な表現ばかりではありません。日本語を母語とするノーベル賞科学者が多いことや高等教育を自国語で学べるなど、日本語は科学的、実用的にも使える、汎用性の高い言語であるとも言えます。
日本人はイエスかノーか、はっきりしないと言われることがありますが、それは日本語という言語の特性によるものではありません。あくまでも話し手の表現方法の特徴であると思います。
しばしば外国人には習得するのが難しいと言われている日本語ですが、日本語に堪能な外国人はたくさんいます。ぜひ、皆さんも日本語に挑戦してください。
ひとくちメモ
◆言葉そのものに力が宿っていると考えている日本人は、不吉な言葉、縁起の悪い言葉を口にするのをためらう傾向があります。
忌み言葉と呼ばれるのがそれです。例えば、結婚式などめでたい席で使ってはいけない言葉があります。「切れる、破れる、割る」などは夫婦の離別を連想させる言葉として、「戻る、繰り返す」は再婚を連想させる言葉として、「流れる、降りる」は死を連想させる言葉として避けられています。
◆忌み言葉に縛られるのは、大きな犠牲をともなうこともあります。太平洋戦争中、日本軍の軍令部は「負ける、失敗する、撤退する」などという言葉を使えなかったために、作戦に柔軟性がなかったと指摘されています。
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