第480回 2015.05.11
今回は町田宗鳳様が主催される「ありがとう断食セミナー」を紹介いたします。
私は2度参加をしていまして、貴重な体験をしてまいりました。
参加をする前の健康診断では、3年連続にわたり要治療の体でございました。
セミナーに参加をしたのをきっかけに、1日一食にすることもいい結果につながったのか、一か月後の検診ではすべてをクリアーをして現在に至っております。
さてこのたび町田宗鳳様より、大変興味ある案内が届きましたので紹介いたします。
皆様、お元気でお過ごしでしょうか。
今年2月と4月の二回連続で「ありがとう断食セミナー」にご参加下さった加藤眞三・慶応大学教授が、医学や栄養学の専門誌である『医と食』に本セミナーの体験談を紹介してくださいました。
消化器内科と肝臓病治療で第一人者と目される医師が、このように虚飾のない文章を書いて下さったことは、誠に光栄なことであり、ますます多くの方が当セミナーを体験して下さることを祈るばかりです。
ぜひまた断食セミナーのみならず、「風の集い」や「そうほう塾」にも足をお運び下されば、嬉しく存じます。
町田宗鳳 拝
町田宗鳳様ホームページ
http://www.arigatozen.com/
加藤医師感想
『医と食』 「患者学のすすめ」 慶應義塾大学看護医療学部 教授 加藤眞三
患者として医師としてみた「ありがとう断食セミナー」
Summary
I participated in the “ARIGATO fasting dojo” in February this year. As
patients who suffer from high blood pressure, and as a doctor to teach
chronic disease, was what the effect is amazing. In this issue, I would like
to introduce the experiences I have participated in the fasting dojo from
the point of view of the Patientology.
はじめに
本年2月に「ありがとう断食セミナー」に参加した。高血圧を抱える患者として、
慢性病を教える医師として、その効果は驚くべきものであった。本号では、断食セミ
ナーに参加した体験談を患者学の視点から紹介したい。
高血圧の患者となって
わたしは、慢性病では薬に頼るよりも先ず生活習慣を改善することが大切であると
考えてきたし、学生に教えてもきた。しかし、最近、自分自身の血圧、特に最低血
圧、が高い傾向が続き、100を超えることも多くなっていた。不規則な生活であり外
食することが多く、塩分を摂りすぎであることは否めなかったが、それなりに自分で
は塩分の摂取量を意識していた。運動に関して言えば、以前から万歩計をつけてモニ
ターし、1日平均の歩数も8000歩以上は確保してきたし、さらに昨年1月からは少し強
度の高い運動も週に一度は必要と考え、テニススクールにも通い始めていた。
そのようにしても、血圧のコントロールは十分とはいえず、1年程前からカルシウ
ムブロッカー(ノルバスク)を渋々服用し始めたが、150台/90-100台の血圧がなお続
くため、昨年9月からは利尿剤(フルイトラン)を加えて2剤の降圧薬により、ようや
く140台/80台にコントロールしていた。
町田宗鳳氏の開催する「ありがとう断食セミナー」
そんな時に、町田宗鳳氏の開催する断食セミナーに参加する機会をえた。町田氏
は、現在広島大学環境平和学プロジェクト研究センター長であり、比較宗教学、生命
倫理学の研究者である。町田氏は14歳で出家し、京都の臨済宗大本山大徳寺で20年修
行した後、ハーバード大学神学部に留学し修士号を取得し、さらにペンシルバニア大
学で博士号を取得し、プリンストン大学助教授、シンガポール大学教授を経て、東京
外語大学教授となって帰国されたユニークな経歴をもつ。わたしは、町田氏が東京外
語大学の教授であった時、町田氏の主宰する比較宗教学者の生命倫理を研究者の集ま
り「いのちの研究会」に参加し、その仲間と2度のインドへの調査旅行に同行したこ
ともあった。
その後、広島大学教授となられた町田氏は、「風の集い」、「ありがとう断食セミ
ナー」、「そうほう塾」などの集まりを積極的に展開されていた。私自身、両方に興
味はあったが参加する機会がなく過ごしていたが、今回、「ありがとう断食セミ
ナー」にアメリカでオキシトシンについて研究していた高橋徳医師が参加するという
ことを知り、高橋医師の話も聴きたくて急遽参加することを思い立った。
断食に関しては、甲田光雄医師の書物などで関心は持っていたが、自分自身が経験
したいと思うほどの強い関心ではなく、本誌の編集長である渡邊昌先生も奨められて
いたが、断食することは躊躇していた。それは、空腹になることへの恐怖感があった
ためではないかと思う。昨年末、左足首の骨折をしてより、色々思うところあり、還
暦をまえにして自分を変えようと考えていた時期でもあり、思い切って参加すること
ができた。
「ありがとう断食セミナー」の体験
2月13日金曜日、自宅での朝食はいつもより軽く済ませ、昼にはヨーグルトを飲ん
で、東京を発ち、17時前に御殿場にある時之栖ホテルにした。各自の個室に荷物をお
いて、畳様のマットを敷いた広間に集合した。20歳台から70歳台まで老若男女、親
子、夫婦などが参加していた。約40人の参加者が自己紹介をし、プログラムは始まっ
た。
「ありがとう呼吸法」、「ありがとう念仏」、「観音禅」、「感謝念仏」、「涅槃
禅」などが町田氏により3日間にわたって指導され、全員が参加する。約30分の瞑想
も、ただじっと座っているだけではなく、声を出しながらやっているので、苦もなく
時間が過ぎていく。
とくに、「感謝念仏」では、各自が各自の音程と長さで大きな声を出すだけである
のだが、わたしの耳には雅楽の笙の音が聞こえてきた。笙の音は、雅楽では「天上か
ら差し込む光」を表す音として知られるが、その音を聴きながら「あーーーー、
りーーーー、がーーーー、とーーーーー、うーーーーー」をくりかえしていると、と
ても気持ちが良くなってくる。「感謝念仏」の間に、このような音を聞こえるだけで
はなく、香りが漂ってきたり、ビジョンが見えてくる人もいるそうだ。「感謝念仏」
では、今回は自分に対して、両親に対して、自分のお世話になった人に対してなどの
テーマを事前に与えられる。そのことが、自分には感謝をする対象がたくさんあるこ
とを気付かせてくれて、自分を内観することにもなる。
「ありがとう念仏」は、「感謝念仏」に比べてアップテンポであり、町田氏が木魚
をたたくのに合わせて「ありがとう」を約30分繰り返す。町田氏は素人にとってこれ
が最も深い瞑想にはいるための簡単な方法であると紹介されていた。
休憩時間は、会場の端に準備された机を囲んで、参加者と談笑する。水、白湯、柿
の葉茶、塩、黒砂糖は自由にとることができる。色々な職種のひとが集まっており、
その会話も楽しみだ。大勢と一緒にやっていることが断食に対する不安感をかき消
す。会期の期間中に、酵素エキスが2回、野菜ジュースが一度出された。3日間にわ
たり心配していた空腹感に煩わされることなく、苦痛なく過ごせたのは、プログラム
が工夫して組まれている賜物なのであろう。
各プログラムの最初にはヨガのインストラクターから、身体をストレッチさせる運
動を指導される。そして、2日目の夜には、裏山に登って護摩を焚いたり、3日目の
朝には、スロージョギングをするなど、身体を動かすプログラムもある。一日のプロ
グラムが終わると、各自個室に戻った後、ホテルの温泉に入り、就寝時間となる。初
日、二日目とも心配した空腹感に悩まされることなく安眠ができた。ホテルの前には
雄大な富士山があり、朝焼けの赤富士を観ることもできた。温泉と富士山という大自
然の気の中で過ごせることもこの断食道場を心地よいものにしている。
3日目の最終日は、朝に青汁が出され、スロージョギングをした後に、復食に入
る。宿便を出すことを目的に、梅干し、煮た大根、生野菜などを順番に摂ることを指
示される。梅干し10個と大量の大根の煮汁を飲むことにより、排便が促される。排
便があった後には、パンとミルクティーを摂ることができた。野菜やパンが本当に美
味しく感じられた。
昼には、富士山を真正面に観ることのできる露天風呂に皆さんと一緒に入り、ゆっ
たりとした後に、最後のプログラムにうつる。そこで、各自が道場に参加をした感想
を述べ、15時には解散となった。この3日間を通して、辛い思いはほとんど感じな
い。
20年間の禅宗の僧侶として修行をされた町田氏が、宗派にかかわらずに、しかも宗
教者でない人にも、簡単に瞑想をできる手法として編み出した「ありがとう禅」を組
み合わせた断食道場であった。町田氏は、浄土宗の開祖法然の研究者でもあり、これ
からは天台宗の比叡山修行をするという宗教の型にとらわれない現代に求められてい
る宗教性を目指して活動している。広島大学を退任後は、このホテルに建立される予
定のお堂を中心に、宗派をこえた統合医療の場として活動していくという。また、ハ
ワイ・ロスアンゼルス・パリ・ブリュッセル・台湾などでも「ありがとう禅」を指導
している。
断食道場参加のその後
たった3日間の断食道場に参加することにより、その後わたしは降圧剤をのむこと
なく、140/90以下の血圧ですごすことができ、4週間がたとうとしている。最
初は、その効果はせいぜい2-3日だろうと考えていたが、2週間を過ぎた頃より、
ひょっとするとこのまま降圧薬を飲まないでもすむのではないかと感じ始めた。
血圧に対して予想以上の良好な経過をえたので、その原因について考えてみた。
一つ目は、体重が減量できたことである。ただし、減量は、1-1.5kgに留まってお
り、この程度の減量なら以前にもしていたが、血圧にそれ程の影響があったわけでは
ない。断食を経験したことにより、空腹感に対する恐怖感がなくなり、一食を抜くこ
とを簡単にできるようになったことは大きい。体の切れもよくなり、頭もさえ、全体
として体調が良くなっていることを感じている。一定の時間が来れば食べなければな
らないという強い思い込みがあったが、その思い込みから解放された。
次に、減塩できたことである。断食を経験して、塩辛いものに鋭敏になり、塩分を
摂る量が減っている。また、朝食に味噌汁をとることをやめて、ホテルでたまたま購
入した黒豆茶に替えていることも関係していることも塩分の制限に役立っている。
三つ目には、コーヒーを飲む量が減ったことである。以前は一日5-10杯程度のコー
ヒーを飲んでいたが、黒豆茶が気に入ったため、一日のコーヒーを2-5杯程度に減ら
すことができている。カフェインの摂る量が減っていることが血圧の低下の原因の一
つかも知れない。カフェインが抜けたときの頭の重い感じやだるさから解放されたの
も、断食道場参加の賜物だ。
四つ目は、気持ちがリラックスしていると感じていることである。断食道場に参加
以来、肩の力が抜けた感じがする。これは、断食の効果というよりもありがとう禅の
効果かも知れない。あるいは、この頃より声を大きく出すことを心がけていることも
関係しているかも知れない。
いずれが原因であるにしても、予想以上に降圧効果を長期間得ていることに、医師
としてのわたしが驚いている。生活習慣を変えることだけでも、血圧をコントロール
することが可能であると感じられたことは、何よりの収穫だ。わたしは約10年前に
富士山に登頂した時、富士山の登頂は人生に一度の体験でいい、富士は遠くでみる物
と感じてしまったが、今回の断食の体験は、また繰り返していきたいと感じるもので
あった。
高血圧患者である医師が、ありがとう断食道場に参加して学ぶことの多い患者学で
あった。
【参考図書】
町田宗鳳『こころと体が軽くなる「ありがとう禅」』, KADOKAWA 2015
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